痛みを伴う”陥入爪”。放っておくと大変なことになる可能性も。長くきれいな爪を保ちたいなら正しい知識を持って日頃から爪の疾患について関心を持つことが大切です。現役ネイリストが知識を伝授します。
陥入爪は爪の側面や縁、先端が皮膚に食い込むことで起こる、皮膚の炎症のことを指します。炎症部分は赤みや腫れを引き起こし、悪化すると歩行が困難になるほどの痛みを伴います。
主に足の親指に発症することが多く見受けられます。
軽度の炎症だからと放置しておくと感染症に繋がりやすく、皮膚の壊死や骨髄炎という、重篤なケースにまで進行してしまうこともあるのです。
特に糖尿病の患者さんは血行障害や免疫力の低下により、足病変を引き起こしやすいとされています。
陥入爪も足病変の1つとして発症しやすい症状で、糖尿病による神経障害が併発していると、炎症を起こしてから重篤な状態になるまで気付かないというケースも多くみられるのです。
陥入爪の主な原因は日常的に行う爪の切り方にあります。
爪を短く切りすぎてしまうことで、皮膚が盛り上がり、皮膚と爪との間に段差が生じます。これにより、皮膚に食い込むように爪が伸びていってしまい陥入爪を発症してしまうのです。
爪を切るときには白い部分を1〜2mm程度残すようにして、短く切りすぎないように意識します。また爪の角部分は残し、爪ヤスリ等で滑らかにして整えるようにしておくこと良いでしょう。
また爪を切る頻度は3〜4週間に1回程度が目安です。
また親指の圧迫も陥入爪を引き起こす原因となるため、靴選びも重要なポイントです。
日常的に着用している靴がきつすぎないか、サイズが適正なものであるかどうか確認をする必要があるでしょう。
窮屈な靴を履き続けていると、爪に食い込むように皮膚が圧迫されるため、爪の側面の陥入爪を引き起こしやすいです。
また女性の場合にはヒールの高い靴を履くことで親指が圧迫されやすく、こちらも陥入爪の原因となります。ヒールの高い靴は履きすぎず、足を休める時間も作りましょう。
陥入爪は軽度の場合はセルフケアでの対応も可能です。
食い込みがひどくなり、感染症を起こさないよう軽度のうちにセルフケアができるようにやり方を覚えておきましょう。
具体的なやり方としては、陥入爪がおきている部分の皮膚を引っ張り、爪ができる限り食い込まないようにテーピングを施します。
他のやり方としては、爪が食い込んでしまう部分を少し持ち上げ、米粒程度にコットンをちぎり、水で浸した状態で爪と皮膚の間に緩和剤として入れ込みます。食い込みが軽減されることで痛みの緩和にもつながるでしょう。
どちらのケアも清潔感を保つために、1日ごとに新しいものに替えるようにしましょう。同じものを長期間使用することは雑菌を繁殖させ、感染症を引き起こす原因を作ってしまいます。
陥入爪は誰にでも起こりうる炎症であり、また放置することで症状が深刻化する恐ろしい病気です。痛みを強く伴う場合、歩行が困難となり日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
陥入爪の基本的な治療は状態や、炎症の度合いによって異なりますが、ワイヤー等で爪の湾曲を改善するVHO法から、爪の一部を除去し伸びてこないようにするフェノール法などが行われています。